幸せな結末

Happy End

ムーンライト・セレナーデ

映画について

この夏観た映画たち。
映画を語れるほどのリテラシーを持っていないことをまず白状しておく。なすがままに。

エリック・ロメール海辺のポーリーヌ(1983)
はじめて下高井戸シネマに行った。曽我部恵一も学生のころ行っていたという、古くていい感じの劇場。前の座席が近くてウケた。映画はなんてことない、男女のどうしようもない恋物語

石井岳龍蜜のあわれ(2016)
かなり、二階堂ふみ。映画は大したことない。ダンス・シーンは好き。全ての映画に入れるべき。

庵野秀明樋口真嗣シン・ゴジラ(2016)
超おもしろい。オタクチーム最高。俺にも男のロマン的なものが残っていることがわかった。

ジョン・クローリー『ブルックリン』(2015)
よい。とてもよい。地方から都市に移り住んだ主人公が、自分の居場所、そして人生を見つける、というだけの映画。だがそれ以外に描かれるべきものって存在するのだろうか(存在する)。

新海誠君の名は。(2016)
(君の名は)希望。面白かったけど、どこか醒めてた自分もいたな(特に挿入歌の部分)。でもあの内容を107分に収めたのはすごいな。

ジョウ・グータイ『若葉のころ』(2015)
いいに決まってるじゃん、って感じの青春映画。ビー・ジーズ最高。

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音楽について

今年の夏はサニーデイ・サービスの『DANCE TO YOU』が最もよかった。いきなりネッド・ドヒニーかよ。さらにボズ・スキャッグスかよ。って思ったけど最高。音楽的にはカラッとしてるけど内容は暗い。たぶんサニーデイディスコグラフィの中で最も暗い。個人的には『東京』も暗いアルバムに思えるが。
他にはFrank Ocean、Jamila Woods、Pictured Resort、Angel Olsenのアルバムがよかった。春にA Tribe Called Questの影響でジャズっぽいヒップホップにはまり、The Rootsを聴く。今年のビートはこの感じだな。

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夏について

不思議な夏だった。
言葉が溢れ、時間軸が捻れたような2ヶ月を越えて残ったのは、「ムーンライト・セレナーデ」が流れるような香りのする潮風だった。

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九月の海へ行こう。

My Love, My Life

DTM(デスク・トップ・ミュージック)を始めた。とりあえず1小節の中にキックを4つ、適当なところにスネアとシンバルを配置しただけでそれっぽくかつ新しい即席ビートができあがる。スネアを2つ、少しだけずらして置けば、ビートルズの「Tomorrow Never Knows」のデモ音源でリンゴが叩いたような音が再現できる。

カーペンターズ「We've Only Just Begun」(作詞:ポール・ウィリアムス、作曲:ロジャー・ニコルズ)のような70年代ポップスがつくりたいと考え、まず構成をほぼそのまま拝借する。こんな具合だ。

凡例:パート(小節数)
イントロ(4)
ヴァース(8)x2
コーラス(12)
ヴァース(8)
コーラス(12)
ヴァース(8)
アウトロ(4)

ポップスにおいて構成は大事である。Aメロ、Bメロ、サビ、Cメロ、大サビ。シンプルな構成の多い洋楽に比べて邦楽ポップスの構成はかなり盛り込む。例えば、以前ある女の子に教えてもらったGRAPEVINE「光について」(名曲)は、一聴したときBメロがサビだと思って聴いていたが、その後に本当のサビが来るような構成で、こりゃヒットするわと思った。
ここまでポップスの構成を複雑にしていくのは日本特有らしい。僕はシンプルな構成の方がどちらかといえば好きだが(あるいはもっと自由な構成のもの)、商品・製品としての価値を高めようとした結果であろう。できるだけサビの盛り上がりを引き立たせるための構成。シンプルな構成で3分以下の曲はもう永遠にヒットしないのだろうか?

自作曲に話を戻す。まだ40%程度しかできていない。イントロ部分はローラ・ニーロ「Wedding Bell Blues」そのままで、コーラス(いわゆるサビ)前半のイメージはaikoの「飛行機」と「アンドロメダ」を掛けあわせたようなメロディ(そのようなものが実際にできるわけないが)、後半は宇多田ヒカルの新曲をちらっと試聴して出てきたものである。しかしまだ「これだ」というまでには至っていない。12小節は長い。
ヴァース部はほとんどできていない。どこかで聴いたことのあるメロディなのでたぶんそのままパクっているのだろう。
寝てるか起きているのかの中間状態のときに、知らないメロディが頭の中で鳴っているときがたまにあった。「これ、聴いたことないけどめちゃくちゃいいメロディだな」とは思っていたものの、起きたときにはもう忘れていた。(こうして生まれた最もすごい例が「Yesterday」だと思う。)ボイスメモに録っていたら、ヒットメイカーになっていたかもしれない。まぁ、忘れるということはその程度のメロディだったのだろう。そういえば最近、そのまどろみでメロディが生まれ、ボイスメモに録る、というところまでの夢を見た。才能がないということはつまりそういうことだ。

Because I'm Me

マイ・フェイバリット・シングス・2016・ソー・ファー

Music

ayU tokiO『新たなる解』
Beyoncé『Lemonade』
Chance the Rapper『Coloring Book』
大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』
スカート『CALL』

Ariana Grande「Be Alright」
LUCKY TAPES「MOON」
Radiohead「Daydreaming」
欅坂46サイレントマジョリティー」
スピッツ「みなと」

aiko『夏服』(2001)
Kendrick Lamar『To Pimp a Butterfly』(2015)
Marcos Valle『Samba'68』(1968)
Michael Jackson『Off the Wall』(1979)
A Tribe Called Quest『The Low End Theory』(1991)
森田童子『ぼくたちの失敗 ~森田童子ベストコレクション~』(2003)

Books

田中康夫『なんとなく、クリスタル』(1980)
金澤寿和『Light Mellow 和モノ Special -more 160 items-』(2013)
松本隆『風のくわるてつと』(1972)
冨樫義博『HUNTER x HUNTER No.33』(2016)
『別冊カドカワ 総力特集 乃木坂46 vol.1』(2016)
『&Premium 28 映画が教えてくれること。』(2016)

Media

TBSラジオ『Sound Avenue 905 (DJ:小西康陽)』
テレビ東京『欅って、書けない?』
テレビ東京『乃木坂工事中』
乃木坂46時間TV』

Live

cero『~Outdoors~』(@日比谷野外大音楽堂 2016.5.21)
小沢健二『魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ』(@Zepp Tokyo 2016.5.25)

Others

Apple Music
Filmarks
実況パワフルプロ野球2016』
欅坂46 公式ブログ
乃木坂46まとめ 乃木仮めんばー
深川麻衣

ビー・オールライト

まず先週の土曜日、初めての野音で初めてのceroを観た。雨に打たれながら聴く「夜去」は特別な瞬間であった。「Contemporary Tokyo Cruise」をアンコールで聴くまで失念していたのには驚いたが、それほどいい曲ばかり演奏されたということ。「スマイル」「大停電の夜に」とかもう最高。
水曜日。初めてのZepp Tokyo小沢健二のツアー初日。オザケンは実在していた。想像以上にチャーミングでエネルギッシュな人であった。新曲を7曲聴いた。高揚していたため咀嚼できるだけの時間と余裕はない。しかし「フクロウの声が聞こえる」はまだ体内にしっかり残っている。他の新曲、特に『LIFE』に入っていそうな曲なんか本当に最高だった。音源化を何よりも望む。それが出来ないなら、日本の大衆音楽史にとって大きな損失となる。大袈裟でなく本気で。旧譜から「大人になれば」を演ったのはすごく嬉しかった。今回のツアーでこの曲を演る意味は大きいのではないか。やはり父親になったことが影響しているのだろうが、そういうのも含めてオザケンは今を生きる作家であると感じた。
金曜日。初めての渋谷WWWでスカートのレコ発ワンマン。30曲ほどの名曲を次々投下。気付いたのだけどあまりノッている人がいない。まぁceroオザケンに比べれば仕方ないが、ちょっと距離を感じた。しかし自分もライブ行き初めはあんな感じだったように思うし、そう考えると僕が変わったのだろうか。ライブ終わりにシブツタでレアなCDを借りまくる(宝の山か、ここは?)。シモンズとキュアーを同時に借りる人なんてそういないよな。

最近発見したのはaikoのすごさ。これぞJ-Popの極致というか、理想形だ。ソングライティングはとてもユニークではあるのだが。「かばん」のサビのメロディ恐ろしい。『夏服』は日本の『モーニング・グローリー』。

岩井俊二リップヴァンウィンクルの花嫁』で黒木華森田童子を歌うシーン(最高)を観てからというもの、森田童子の歌にやられた。このタイミングでオリジナル・アルバムが再発。素晴らしい。今年の個人的トレンドだろうな。

乃木坂46のセカンド・アルバムは全然盛り上がらない。なんだろうな。「君の名は希望」作家陣による「きっかけ」が人気らしいが、冗談はほどほどにしてくれ。何番煎じだよ!「君の名は希望」は一曲で十分だ。もう既存のファンを喜ばせることに終始したって意味ない。もっと外に向けていかないと、本当に妹分に追い越される。
その妹分にさらに新しいメンバーが加わった。ひらがなけやきの11人。以前、平手・長濱に比べられてしまうのが酷だと書いたが、それに匹敵するかもしれない逸材が入ってくれた。名前は柿崎芽実。なんと素敵な名前だろう。平手も長濱も名前からして特別な感じはしているから柿崎も相当期待できる。
さて欅坂46のセカンド・シングルがそろそろ楽しみだが、予想で言えばまたシリアス路線だろうと思う。ただし「サイレントマジョリティー」ほどメッセージ性は重くないようなポップス。とにかくこれからの数作は本当に大事。1stのアドバンテージを生かすも殺すもプロデューサーの手腕次第である。

Can I Kick It?

退屈なアイドル・シーンに風穴を開ける欅坂46がデビューして数日が経ったが、その衝撃は思いの外大きい。iTunesで総合1位をまだキープしている。個人的には、最近3年間で発表された曲の中でトップである。
5曲あるカップリングにも駄作がない。かなり良い曲が3曲(「山手線」「渋谷川」「乗り遅れたバス」)、普通に良い曲が1曲(「手を繋いで帰ろうか」)、普通が1曲(「キミガイナイ」)といった具合だ。「キミガイナイ」、あまりにも説明的すぎるBメロの歌詞には苦笑してしまうものの、メロディーは結構ユニーク。「手を繋いで帰ろうか」秋元康というおっさんからこのようなラブリーで多幸感溢れる歌詞が出てくることは色んな意味で尊敬できる。しかし彼の中にあるオシャレワードの少なさは相変わらずだ。乃木坂46に大貢献しているAkira Sunsetの作曲だが、早口になりがちな、言葉を詰め込むようなメロディーからそろそろ脱却した方がいいのでは。底が見えてきている。長濱ねるをフィーチャーした「乗り遅れたバス」は90年代の古き良きJ-POPを思い出させる。ユニット曲だがサビでソロになる曲なんて、秋元P系では聴いたことがない。舌足らずなねるの声は特徴的で、透明感のある他のメンバーの声質と全く違っていてそのギャップが面白い。「山手線」は薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」を意識したような昭和歌謡のスタンダードといったイメージで、歌詞も含めて完成度が高い。そしてフォーク・ソング「渋谷川」。名曲と呼ぶに何の躊躇いもない。この2曲で7インチを切るべきだ。間違いなく売れる。

乃木坂の運営で培ったノウハウを総動員した、ソニーの本気がこれだ。しかしながら、乃木坂のことを考えると複雑ではある。当然、伸び代では欅坂が圧倒的で、これからファンを増やすためにいい曲が妹たちに流れていくことは、ビジネス的に考えても致し方無い。乃木坂のメンバーが欅坂のデビューに際してほとんど触れていないことが逆にメンバーの不安感、焦燥感を表しているように思う(特に、結成後すぐはよく話題にしてた真夏さん)。こんなすごい曲とMVを見せられたらビビるに決まっている。思えば、初めて乃木坂は追う立場から追われる立場になったのだな。そう、欅坂は乃木坂のカウンターである。乃木坂はどう転んでもドブ川に入ってジャケットは撮らない。裏を返せば、乃木坂も欅坂のカウンターとして迎え撃つということが求められる。そういう意味で15thは重要だ。乃木坂ファンや世間の注目は欅坂に流れているのは間違いない。そんな中で、やっぱ乃木坂すごいねって思わせられるか。「サイレントマジョリティー」の路線で一発かましてほしいね。正直ここ数作は、楽曲もグループとしても全然ワクワクしない。個人個人はすごいけど。とにかくこんなところで簡単に追い抜かれてはいけない。YouTubeの再生回数では、欅坂の方が後に公開されたにも関わらず軽く置き去りにされたけど。乃木坂は静かな負けず嫌いが多いイメージなので、バチバチ感はないと思うが内心かなり燃えているかも知れない。というかそうであってほしい。