幸せな結末

Happy End

Sounds of 2015

2015年よく聴いた12,3の曲たち(2014年以前リリース)。



Gal e Caetano Veloso | Domingo | 1967
薬師丸ひろ子 | あなたを・もっと・知りたくて | 1985
Lamp | さち子 | 2014
Rahsaan Patterson | Where You Are | 1997
John Lennon | One Day (At a Time) | 1975
The Doors | Moonlight Drive | 1967
トワ・エ・モワ | 或る日突然 | 1969
久保田早紀 | 異邦人 | 1979
XTC | Thanks for Christmas | 1983
Tracey Thorn | Small Town Girl | 1982
Prince | With You | 1979
Sergio Mendes & Brasil '66 | Going Out of My Head | 1966

見ると解るように、ボサノヴァに始まりボサノヴァに終わる2015年。そう言ってしまうにはいささか強引であるが、間違ってはいない。まず渡辺亨『音楽の架け橋』という書物の影響が、年始めに色濃く出ている。ブルー・ナイル、カエターノ・ヴェローゾを始めとして、年の後半にはベン・ワットの再評価やそれに伴うトレイシー・ソーンの素晴らしいアルバムに出会った。そのどれもがボサノヴァやラテンの影響を受けており、そういう意味ではこの一年はブラジル音楽の年だったのだ。また邦楽においても、別のルート(野宮真貴の作品)からトワ・エ・モワを発見し、この洒脱なグループもやはりラテンなどの音楽性を内包していた。まぁ、少し広い視野で見ると、渋谷系ボサノヴァは繋がっているわけで完全に別ルートとはいえないが。それでも野宮真貴の作品によってボサノヴァ~バカラック~村井邦彦~ユーミン~小西康陽~フリッパーズ・ギターがスパっと一直線に繋がったのは気持ちがいい体験であった。
ソウル・ミュージックは相変わらず自分の中で良い位置を占めている。今年はやっとプリンスを聴いた。ceroの新譜によってラサーン・パターソンというアーティストも知った。BPMが160超えのロックンロールは少々つらくなり、BPM100程度のソウルがちょうど気持ちよくなってきた。

詩や歌のような日々を

グザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』が一日限りで上映されるということで立川へ行ってきた。あらゆる感情が1:1の画面いっぱいに溢れていて、素晴らしい映画だった。オアシスの「ワンダーウォール」がかかったシーンの高揚感は、今年いろんな映画を見てきた中でも最高の瞬間のひとつだった。

いまはその立川にあるレコード屋で買った荒井由実の2枚目のLPを聴いている。日本が世界に誇るポップスの最高峰。

月曜に湘南まで行ってランタンパレードの弾き語りを聴きに行き、そこで新譜を入手した。バンド編成としては4年ぶり2作目となるが、相変わらずの素晴らしさ。前作より演奏にややポップさが増し、割と軽い気持ちで聴ける。


成長著しい欅坂46の話題。まずはなんといっても長濱ねるの加入だろう。運営得意の隠し玉作戦。そのやり方はあまり好きではないが、注目させるためには有効である。何より当の本人が、即エース級の逸材なのだ。そうじゃなかったらわざわざこんなことをしないだろう。運営の気合が垣間見える。長濱ねるの特筆すべき点は、伊藤万理華推しということ。単純だけど、その事実だけで俄然信頼できる。
ひらがなのけやき坂については正直必要ないと思う。今の21人でいい感じだし。ただ、今後の欅坂ストーリーがより重厚なものになるのは間違いないし、オリジナル・メンバーにはいい刺激になるとは思うので期待したい。
また気になるメンバーを。長沢ちゃん、個人的には存在感ないメンバー上位だったけど、自撮りを見る限りめちゃくちゃかわいい。乃木坂が本当に好きなんだろうな。同じく小林ちゃんも薄かったが、ブログ上手だし、小顔。そこはかとない色気も感じさせる。化ける可能性十分。守屋茜の負けん気の強さ、嫌いじゃない。齋藤冬優花のグイグイ来る感じは、坂Gでは非常に稀有な存在なんだけど、その必死さが空回りしている感じも含めてかわいい。石森虹花も気が強そうと思いきや、実は強がりで、実際繊細な子なのかなぁ。すずもっちゃんと他のメンバーの関わりは少し心配だ。ブハ(上村)ちゃんは、すでに真夏さんポジションて感じだ。安泰。まなか、ベリ、オダナナあたりのダル絡み最高。

とりあえずどのメンバーのブログも初々しさがあって読んでで気持ちがいい。

魔法を信じ続けるかい?

5年前の僕に、いまの僕がこう言ったとしたら、彼は何を思うのだろう。

中村一義が、『金字塔』の再現ライブを、江戸川区でやるよ。」

中村一義が江戸川のほとりで、「永遠なるもの」を弾き語っている姿を勝手に想像し、勝手に泣いていたあの頃。彼の音楽に自分の全霊をぶつけ、涙したあの頃。2012年の『博愛博』をひとつの契機として、彼の音楽を聴く機会は少なくなったものの(代わりに乃木坂46のことを考える時間が増えた)、『金字塔』はいつだって、僕の心のベスト・テン第1位であり続けた。まだ生きている、守り続けているんだっていうその事実を、あの頃の"死ぬように生きていた"自分に、誇りを持って伝えたい。

だけど、あと1週間後に行われるその再現ライブを、本当に僕は見るのだろうか。その実感が湧かない。正直言うと、あまりわくわくしない。なぜか?やはり、『金字塔』は『金字塔』の中でしかあり得ないからだ。『金字塔』の外でそれを再現しようと思っても、まず原理的に不可能なんだ。彼は一体、何を見せたいのだろう。わからない。少しばかり懐疑的な気持ちになっている。いまの自分の価値観や人生観をつくったといっても過言ではない『金字塔』という作品が、あまりにも大切すぎるから、いろいろ考えてしまう。今までライブでやってない曲を本当に出来るのかとか、失望だけが残ってしまうんじゃないかとか、そういうことをね。といっても実際、「始まりとは」のポエトリー・リーディングでいきなり泣いてしまうかもしれないし、酷い出来だったとしても、『金字塔』が人生の一枚であることには変わりないから、どうってことはないだろう。中村一義は2015年を生きていて、2015年の中村一義を見に行くんだ。

アルバムの中核となる「魔法を信じ続けるかい?」という曲に、
「この歌を20年後に聴けば、夢が解る。もうすぐさ。」
という歌詞がある。その「夢」こそが、今回のライブを見れば解るのではないか。
そう思うと、少しわくわくしてきた。

今後の人生観が大きく変わることは無いだろうけれど、大きな意味を持つことは間違いない。

或る日突然

今日で27歳になったわけだが、野宮真貴による渋谷系スタンダードを歌ったアルバムがとにかく素晴らしいという感想しかない。昨夜、日付が変わった瞬間にApple Musicで配信が始まったので、それをかけながら眠った。それは特別な夜だった。さらに、一旦再生されればWi-fiが切れてもある程度はiPodに保存されるらしく、今日の通勤中と休憩時間、帰りのバスでも聴くことが出来た。そして家に帰ってから届いたCDを改めてリッピングし、また聴いた。山上路夫村井邦彦による「或る日突然」(トワ・エ・モワ)が素晴らしい。シンプルであるがシンプルすぎない、理想のメロディ。野宮真貴が歌えば、何の違和感もなく、全ての曲がスタンダードになってしまう。

たった今辞退メンバーが出た欅坂46の話。出鼻挫かれた感あるが、(冠番組のみの情報で)気になるメンバーをいくつか。今泉ちゃんの即戦力感。賢そうな渡邉(理)、ポンコツ感半端ない渡辺(梨)のコンビ期待。志田愛佳、すでにオーラ全開。土生ちゃん、ビジュアル完成度抜群。菅井ちゃん、お嬢様グループの象徴的存在か。初登場でガチガチだった小池ちゃんかわいい。素晴らしい名前を持つ守屋茜、目立たないけど超綺麗。尾関のうざ可愛さ。織田ちゃんのナチュラル感。平手ちゃんはいきなりセンターになるのか。最年少には重すぎるかもしれないが、一番しっくりくる。こんな感じでいろいろ魅力を発見していく感じがやはり楽しい。「ガールズルール」期の乃木坂46を見ている時を思い出す。そして近い将来、欅坂46版「ぐるぐるカーテン」が産み落とされる瞬間を体験できるのは幸福といえよう。

Many Moons

森は生きているが解散した。

正直な話、長続きするたぐいのバンドでは決してなかったから、大して驚きはしなかった。2nd発表以降、新曲を録ったりしている様子もなかったから、うすうす感づいていたのかもしれない。
ここに、考えるべき重要な問題がある:

彼らが残したあまりにも素晴らしい2枚のアルバムは、果たして邦楽ロック史にインパクトを残せたのか?

答えは、まだわからない。しかしまず言えるのは、大衆と評論家からの正当な評価を、リアルタイムでは受けられなかったということ。でもそれは決して悪いことではないと思う。そこそこ売れて、まぁまぁ良いねぐらいの評価を受けたもののほうが、忘れられやすい。むしろ若干賛否あるほうが、それだけの作品ということの裏付けになるだろう。いつか再評価される時がきっとくるはず。真実は時の娘。
しかし実際、なぜ大衆にさほど届かなかったのか。若い人には1stの渋いアメリカン・ロックはちょっと不利ではあったかもしれないが、セカンドは正真正銘のロックだった。なぜいいセンスのある若者がいなくなってしまったのか。彼らの音楽を「癒し系で落ち着く」といった評をしているレビューを何処かで見かけた。何もわかっちゃいない。フリッパーズ・ギターが、スピッツが、サニーデイ・サービスがその裏に隠し持っていた、パンクというものを。久々にそういうスピリットを持った岡田拓郎という若者が出てきたことを僕は喜んでいる。