ザ・ダウンタウン・ライツ
とにかく生生星だ。生生星!生!生!星!
先日のミュージックステーション。「制服のマネキン」のイントロで3人が順番に登場するその刹那に、彼女たちのこれまでのすべてが凝縮されていた。らしさを失うことなく、真ん中に堂々と立てるまで真っ直ぐ成長した生田絵梨花。アンダーに落ちて一度脱落しかけたものの、完全に輝きを取り戻して波にのる星野みなみ。そして、様々な舞台で乃木坂のために全力を尽くしてきた生駒里奈。この登場シーンだけでも心が震えた。3人が横一列に並んだ時のワクワク感といったら、ない。後列が霞んで見えたほどだ。そう、あのタレント揃いの乃木坂鉄壁選抜でさえ霞ませるほどの力があったのだ。初期の頃はかわいい妹3人組といった感じだったが、今回の3人は完全に乃木坂を背負っていた。近い将来、生生星の復活を確信させるには十分な貫禄があった。
11thシングル選抜は18人という苦肉の策となったが全体的にはバランスの取れたフォーメーション。西野七瀬が返り咲くとは予想しなかった。いずれにしても停滞感を感じざるを得ない状況ではあるが、希望もある。伊藤万理華の選抜復帰だ。完全に固定化した福神メンバーの牙城を崩すのは、間違いなくこの人だ。だからこそ3列目の真ん中に配置されたのだろう。彼女の活躍はそのままアンダーのモチベーションに繋がり、エネルギーが伝染し乃木坂全体が活性化されていく。ブログの筆圧もいつも以上に強く、彼女がどれだけこのシングルにかけているか伝わってくる。この熱量は、選抜固定メンバーにはないものだ。この時点で選抜より上に立っていると言ってもいい。同じく選抜入りした齋藤飛鳥の正直で誠実なブログも印象的だ。彼女は常にいろんなことをいろんな角度で考えている気がする。若くして全体を俯瞰で見れるバランス感覚は頼もしい。自分や自分のファンのことしか考えないような都合のいいメンバーはぜひ見習ってほしいと思う。さてアンダーのセンターは誰だろう。そろそろひめたんに立たせてあげたいと強く思う。しかし井上小百合の安定感も捨てがたい。永島聖羅の努力ももっと評価されるべき。選抜よりフォーメーション予想が楽しいアンダーは相変わらず。やれやれ。
そうだ、約半年ぶりにあの人に会えたんだった。まだいたことを確認しただけだったけど、ホッとしたなぁ。
Sounds of 2014
2014年よく聴いた12、3の曲たち(2013年以前リリース)。
Daft Punk | Get Lucky | 2013
Harpers Bizarre | I Can Hear the Darkness | 1967
Nick DeCaro | Happier Than The Morning Sun | 1974
Ned Deheny | If You Should Fall | 1976
The Clientele | We Could Walk Together | 1997
Fleetwood Mac | Dreams | 1977
ラブリーサマーちゃん | あなたは煙草 私はシャボン | 2013
井上陽水 | 帰れない二人 | 1973
松任谷由実 | ランチタイムが終わる頃 | 1983
Blondie | Heart of Glass | 1978
中森明菜 | スローモーション | 1982
岡村靖幸 | だいすき | 1989
サザンオールスターズ | 夏をあきらめて | 1982
2013年は個人的にアイドル・ポップの年だったが2014年は特に決まったブームというものはなく、ふわふわ気ままに聞きたい音楽を聞いていた気がする。アイドル・ポップブームの流れを受けて中森明菜を聞いた(それほど嵌ったわけではないが)。あとはいわゆる名曲、名盤をしっかり自分の中に染み込ませること。新譜はあまり聞かなかったと思ったが意外と75枚ほど聞いていて少し驚いた。しかし2013年ほど豊作ではなく、(一部を除いて)小粒な作品が多いという印象が強い。そしていよいよ邦楽:洋楽の比率が極端になってきた。洋楽は歌詞がわからない。正確に言えばわかるけれども、サイクルの早い現代においてはそれを調べて解釈している時間がない。だから手っ取り早く理解できる日本の音楽を聞く頻度が上がる。そういう単純なことと思う。あとは「売れているから」。ポップな音楽を好むようになり、当然ヒットチャート上位の曲もチェックしたくなる。しかしヒットチャート上位に洋楽はテイラー・スウィフトやアリアナ・グランデなど一部のポップスターに限られる。なぜ売れている音楽を聞きたいのだろう。誰かと共有したいのだろうか。やはり社会とつながりたい(あるいはつながっている気になりたい)のだろうか。
"社会とつながる"?
そう、何と言っても2014年は就職活動が大半を占めていたのだ。しかし上に挙げた曲たちは統一感に欠ける。陽気な曲もあればシリアスな曲、マイナー/メジャー(知名度的な意味で)な曲と様々で、要はそういう気分で就活していたということだろう。ただ王舟の素晴らしいデビュー作『Wang』や、松任谷由実『パール・ピアス』などは面接終わりの電車の中で虚しくかつ切なく響いたのは印象深い。
さて待ちくたびれたデビュー・アルバムをようやく今週リリースする乃木坂46の2014年はどうだろう。いろいろなことが起こりすぎて一言ではいえないが、相変わらず毎週の一番の楽しみが『乃木どこ』の自分がいることに変わりはなかった。結局平和でのほほんとした乃木坂と、作品の中で輝くメンバーが見られれば充分満足である。今年はドキュメンタリー映画の公開があるようで、握手会はもちろんライブに行ったことすらない自分でもこれは観に行こうと思う。ただ映画を観るのはやや怖い。乃木坂は(AKB48的な)ドキュメントではなくファンタジーを作り続けてほしいと思っているからだ。しかしこのご時世、裏側もすべて見せていくのが今のアイドルなのだろう。ただそれをエンターテインメントとして昇華させているグループはすでにいる。でんぱ組.incだ。
"めっちゃくちゃのドキュメンタリー
それが僕らとってのファンタジー"
(「サクラあっぱれーしょん」)
"フェアリーテイルでも聞いたことがないくらい 最低で最高な物語
ねえ 誰かにとってネバーランド
これでいいのなら このままでもいいのかな
そこに正解なんてないんだから"
(「でんぱーりーナイト」)
2014年のでんぱ組は本当にすごかった。2月にリリースするアルバムは一体どこまで行ってしまうのだろうか。『WORLD WIDE DEMPA』がドキュメンタリーであったのに対し、次のアルバムはその先、つまりファンタジーを見せてくれるに違いない。
The 20 Best Albums of 2014
The 20 Best Albums of 2014
20 | 失敗しない生き方 | 常夜灯
19 | サニーデイ・サービス | Sunny
18 | 坂本慎太郎 | ナマで踊ろう
17 | 吉澤嘉代子 | 変身少女
16 | Teen Runnings | Now
15 | JINTANA & EMERALDS | Destiny
14 | Hi,how are you? | ?LDK
13 | Jessie Ware | Tough Love
12 | スカート | サイダーの庭
11 | くるり | THE PIER
10 | Shamir | Northtown
9 | 王舟 | Wang
8 | The War On Drugs | Lost In The Dream
7 | ayU tokiO | 恋する団地
6 | Lykke Li | I Never Learn
5 | Christopher Owens | A New Testament
4 | 大森靖子 | 洗脳
3 | シャムキャッツ | AFTER HOURS
2 | Real Estate | Atlas
1 | 森は生きている | グッド・ナイト
The 50 Best Tracks of 2014
The 50 Best Tracks of 2014
50 | Michael Jackson & Justin Timberlake | Love Never Felt So Good
49 | 花澤香菜 | Summer Sunset
48 | Kendrick Lamar | i
46 | Jessie Ware | Want Your Feeling
45 | さいとうまりな | crazy for you
44 | Alvvays | Archie, Marry Me
43 | 坂本慎太郎 | 義務のように
42 | でんぱ組.inc | ちゅるりちゅるりら
41 | For Tracy Hyde | 笑い話
39 | AKB48 | ラブラドール・レトリバー
38 | Shamir | I Know It’s A Good Thing
37 | Teen Runnings | High School Love
36 | くるり | Liberty & Gravity
35 | 失敗しない生き方 | 月と南極
34 | Ariana Grande | Problem (feat. Iggy Azalea)
32 | 清竜人25 | Will♡You♡Marry♡Me?
31 | The War On Drugs | Under The Pressure
30 | 乃木坂46 | 気づいたら片想い
29 | 乃木坂46 | 何度目の青空か?
28 | Lykke Li | Never Gonna Love Again
27 | FKA twigs | Two Weeks
26 | スカート | ラジオのように
25 | JINTANA & EMERALDS | Runaway
24 | Vic Mensa | Down On My Luck
23 | Tobias Jesso Jr. | Hollywood
22 | シャムキャッツ | LAY DOWN
21 | Sugar’s Campaign | ホリデイ
20 | 大森靖子 | ノスタルジックJ-pop
19 | 宇宙ネコ子とラブリーサマーちゃん | 日々のあわ
18 | Christopher Owens | Oh My Love
17 | でんぱ組.inc | でんぱーりーナイト
16 | シャムキャッツ | MODELS
15 | 曽我部恵一 | 碧落 -へきらく-
14 | tofubeats | 20140803
13 | 吉澤嘉代子 | がらんどう
12 | 乃木坂46 | 生まれたままで
10 | Faint⋆Star | スーパー・サマー・ワンダー
9 | Real Estate | Crime
8 | 森は生きている | 影の問答
7 | Homecomings | I Want You Back
6 | 大森靖子 | きゅるきゅる
5 | Tobias Jesso Jr. | True Love
4 | Sia | Chandelier
3 | 平賀さち枝とホームカミングス | 白い光の朝に
2 | でんぱ組.inc | サクラあっぱれーしょん
1 | Sugar’s Campaign | ネトカノ
スローモーション
乃木坂46_10thシングル『何度目の青空か?』総評。今日のミュージックステーションで披露された表題曲は、シリアスなヴァースに始まり、コーラスでメジャーに転調する明と暗のコントラストが鮮烈な一曲。乃木坂の記念すべき10枚目のシングルは、曲とは全く関係のない事件(後述)と発売日が重なることで、違った意味を持つ運命になってしまった。アンダー楽曲は、悪くはないが特別良くもない。ただ評価したいのは井上小百合が満を持してセンターになったこと。実力の割にいまいち跳ねないさゆにゃんの人気だが、これを期に覚醒することを期待している。アンダーライブでも鬼気迫るパフォーマンスを魅せているようだ。8th~9thで大きな成長を遂げた伊藤万理華との「選抜に最も近い選抜ボーダー」コンビは乃木坂の未来そのものである。現役女子高生のみで構成された小洒落たテクノ・ポップ「私、起きる。」は、すっかりお馴染みになったAkira Sunset氏の作曲(「気づいたら片想い」、「狼に口笛を」、「そんなバカな...」ほか)で、この人の振り幅に感心させられる秀作。低音の出方がそこいらのアイドルとは違う。「転がった鐘を鳴らせ!」はメロディック・ハードコアと呼ばれるジャンルの音楽だそうで、自分はこの分野はあまり知らないけれども乃木坂にはなかったタイプの曲。おそらくBPMは乃木坂の中でも一番速いのでは。相変わらず重箱の隅を突くような音楽を振り分けてきやがる。ネタが無くなる。実際、メロコアだけでなく「Tender days」というカントリー調の佳作もモノにした。この曲の歌詞も好きで、アイドルが歌って何の意味があるのか分かりかねるが、秋元康の趣味が大きく出たというところか。94年組による「遠回りの愛情」は、MVが無いことで過小評価に繋がりそうなことが残念なほどの名曲。ベース気持ちいい。これ、さよならポニーテールが歌ってもハマるだろうな。実はふっくん作曲だったりして。
総じて10枚目という節目らしい、気合がひしひしと伝わるラインナップだった。
だからこそ今回の松村沙友理のスキャンダル発覚はやはり残念だ。俯きがちな今日のMステも痛々しくて見ていられなかった。まっつんに対する今後の対応がどうなるかわからないので、まだ見守ることにしたいが、ひとつ言えることがある。やはり松村沙友理という人間は魅力的だということ。アイドルとしてはやってはいけないことをしたことは事実で、罪は償う(誇り高き乃木坂のエースの言葉を借りるならば「戦う」)べきだろう。真面目にやっているメンバーに示しが付かない。解雇だったとしても、仕方がない(実際、大人の事情でそれは出来ないようだ)。しかし、脳内がお花畑状態になり周りが見えなくなったまっつんも容易に想像でき、それがまっつんの良さの一つであると僕には思えるので、今回の件で彼女の人格を100%否定はできない。
とにかくこの件はまだまだこれからという感じなので、ゆっくり見守ることしかできない(そもそもアイドルを見守る以外のことは出来ないのだけど)。
さて明日は中森明菜のデビュー・アルバムとサニーデイ・サービスの4年ぶりの新作が届くので、もう寝よう。