幸せな結末

Happy End

I Feel It Coming

欅坂46のニュー・シングル「二人セゾン」は曲、MVともに傑作である。まず触れるべきは画期的なフォーメーションで、1st、2ndで3列目のポジションに甘んじていたメンバーがなんと4人(小池美波、原田葵、佐藤詩織、齋藤冬優花)も、1列目に躍り出たのだ。きっと何かのギミックがあるのではと思ってMVを観たら、なんてことはない、ちゃんと彼女たちは1列目だった。それは映っている時間が長いという意味だけではない。彼女たちはフロントに相応しいだけの輝きをしっかりと放っていて、僕はそこに感動して思わず泣いてしまうほどだった。君はAメロで颯爽と歩いてくる小池美波のあまりの可憐さを見ただろうか。それに続く佐藤詩織のしなやかな手足と澄んだ表情を見た瞬間、あるいは、3列目でグループを支えてきた齋藤冬優花のあまりに美しい視線を見た瞬間、この冒険的なフォーメーションが完璧な成功を収めたと確信するに違いない。2列目に入ったメンバーは、黄金の中盤とも言うべき安定したパフォーマンスを見せ、特にゆいちゃんず(小林由依、今泉佑唯)が揃ってカバンを放り投げる美しいシーンを撮るだけでどれだけの犠牲が払われたか。何人を不幸にしてきたか。しかし3列目のメンバーも少ない出番ながら、そのまばたきの瞬間、魔法をかけていく。特に米さん(米谷奈々未)だ。この子の笑顔は、すごい。説明できない何か、とにかくそれはアイドルにとってとても大切な何か、が宿っている。恒常的に涙目になるMVだが、僕はこの米さんの笑顔に一番やられた。デビュー曲「サイレントマジョリティー」では、平手友梨奈とその他、という構図が明らかだった。それが今作はちゃんと欅坂46になっている。全員がすごい勢いで成長していて、それでも平手はやはり群を抜いているが、確実に差は縮まっている。

曲単体でも素晴らしい。インパクトこそ「サイレントマジョリティー」に譲るが、主張の激しくないストリングス、細やかなピアノのフレーズといったディテールを積み重ねていくアレンジの丁寧さが、最高のポップスに仕上げている。奇を衒わなくともポップ・ソングはつくれるのだ。ユーミンのような、誰も思いつけそうもないのにキャッチーなメロディ(特にBメロ)、最初から最後まで息もつかせぬ展開(しかし息苦しくない)含め、全てが完璧だと思う。

今年の音楽をまとめて近日中に書こうと思う。とにかく最近はマイケル・ジャクソンの『スリラー』が良くて、今年の初めには『オフ・ザ・ウォール』を聴き倒していた自分としては、マイケルに始まりマイケルに終わる2016年だったといえる。その間にマルコス・ヴァーリ、ア・トライブ・コールド・クエスト、森田童子、プリンス、斉藤由貴ボズ・スキャッグスがいたのだけれど。

 

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天国はまだ遠い

真夜中の中枢で独りを感じるのは久々な気がする。いつものようにテレビは消して、かかり続ける音楽にただ耳を傾ける優雅なひととき。するするっと深いところに入っていこう。

卒業・引退を発表した橋本奈々未についての話。ななみんに対しての個人的な感情は、やや複雑なのだ。例えば他のメンバーに対して持つような、微笑ましいというか、純粋に可愛いと思える気持ちをうまく持てない。なんというか、嫉妬にも似たややこしい感情。たぶんななみんは、いろいろとずるいのだ。例えば、冷静な観察眼とものごとを客観視できる視点、言葉のチョイス、音楽の趣味、出目、高貴でクールな佇まいに反するような絶妙なポンコツ感…。僕がアイドルをやっていたら絶対このポジションに憧れていただろう。そういうわけでななみんを見ると複雑な気持ちになってくる。

ななみんセンターのシングル、まだ1回しか聴いてないや。ソロの「ないものねだり」はいい曲だけど。

そういえば乃木坂46を認識した時、生駒ちゃんと同時に記憶したのがななみんの顔だったな。たしか携帯のCMだった。不思議な顔だな、というのが第一印象だ。

それにしても、ななみんクラスの人気メンバーがまだ結構いることはいいことではあるが考えものでもある。すなわち1人につき「卒業発表→卒業」という工程を約半年程度とるとして、その期間が被らないようにすると、生駒、白石、生田、西野だけでも2年かかる。さらに飛鳥、松村、桜井、若月、高山、秋元、星野、井上、◯、、、3期生を採ったと言うのに「卒業工程」で結構時間が犠牲になる。うーん。

 

ラブリーサマーちゃんのメジャー・ファースト・フル・アルバムがすごくいい。なんとなくガールズのファーストが想起されたりした。90sUSインディとシューゲイザーブリットポップ日本語ラップとフォークと邦楽ロック(チャットモンチー~相対性理論のライン)が並列に並んでいる感覚。青一色のジャケットも最高(『スリーアウトチェンジ』『TEAM ROCK』『100s』の系譜!)。

 

山戸結希『溺れるナイフ』を観た。傑作だった。菅田将暉は言うことないし小松菜奈の死んだ目もよかったし、さらにジャニーズの子と上白石萌音という子も好演っぷりが素晴らしかった。山戸結希監督ってよく鬼才とか言われてて、それって「よくわかんないけどなんかすごい」領域から出れてないんじゃないかと、個人的には疑いの目で観てたのだけど(例えば西野七瀬ソロ曲のMVなどで)、今回の映画は感情的に刺さってきた。天才だと思った。ラスト・シーンでは涙がひとすじ流れてきた。

 

明日は『シング・ストリート』を観るのでこの辺で寝るとしよう。

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朝の風景

1

名古屋に出張に行ったときに上司と飲んだという同期から、その上司の話を聞いた。その課長は後輩に先を越された(後輩が部長)、なかなか馬が合わず仲が良くないこと、大きな会社ではないのに派閥のようなものがなんとなくあること。まぁ40過ぎたおっさんたちが集まればそういうのが無い方がおかしい気はする。みんな仲良かったら気持ち悪い。あとの話題は社内恋愛とか、独身だとか既婚だとか、あの人はちょっとストレスで云々とか、よくある話。

 

2

先日、りんごを剥いて食べた。以下、りんごを3次元空間の中にある半径1の球体とし、平面z=0をまな板とする。すなわちりんごの方程式はx^2+y^2+(z-1)^2=1である。

①りんごを水で洗う。

②平面x=0で包丁を入れる。

③平面y=0で包丁を入れる。

④平面x+y=0で包丁を入れる。

⑤平面x-y=0で包丁を入れる。

⑥8等分されたそれぞれについて、種の部分をえぐり出す。そのうちのひとつにはへたがついているが、今は完全に対称で理想的な球体を考えているので無視するものとする。

⑦8等分されたそれぞれについて、皮をむく。ここも皮の厚さを考慮すべきであるが、理想的な球体を考えているので厚さは無視できるものとする。

⑧いい感じの皿にいい感じに盛る。

⑨フォークや爪楊枝などで刺し、食べる。

⑩うまい。

 

3

斉藤由貴が91年に発表したアルバム『LOVE』がとてもいい。作曲者には当時Qlairに名曲を提供していた人たち(山口美央子やMAYUMI)らの名が連なる。この時期の音(90年代初頭)は物心つく前に浴びていたポップスの音であるから、初めて聞く曲でも不思議な懐かしさがある。アレンジも、ディスコやワルツやボサノバなどのエッセンスを薄くまぶしながらも統一感があり、洒落た装いで佇んでいる。アルバムの内容としてはジャケットが示すように陰鬱でメロウな空気をまとっており、斉藤由貴自身による詩世界が大きく寄与している。作家が書いたものと何ら引けを取ることなく素敵で、特に「朝の風景」の状況描写から溢れる甘い感傷はこの作品のハイライトのひとつである。しかし全てを差し置いても、このアルバムの素晴らしさは彼女自身の湿度を多く含んだ声に帰結するような気もする。

 

4

今日気付いたのだが、ある日興奮気味に書いた「サイレントマジョリティー」が『週刊はてなブログ』で紹介されていてびっくりした。

blog.hatenablog.com

正直にいうと(最近はなんでも正直にいうのだ)、あの記事は個人的にも結構好きだ。一筆書きみたいに書いた文章は勢いがあっていい。

 

5

そんな欅坂46の話題。セカンド・シングルにはここではまったく触れていないので軽く総括。表題曲のタイトル「世界には愛しかない」、やったね。同時期に出た乃木坂46の新曲タイトル「裸足でSummer」。この差よ。残酷な秋元康氏、好きではないけど嫌いでもない。曲もポエトリー・リーディングという斬新な手法を採用。語りからAメロに移行したときの緊張感が最高。そのおかげでBメロになった瞬間チープに聴こえたりもしたのだが、今は全体含めてかなり好き。ゆいちゃんず第2弾「ボブディランは返さない」、「渋谷川」には及ばずもゆいちゃんずは最高なので続けてもらいたい。現代のシモンズになってほしい。「青空が違う」うーん、どうした杉山勝彦氏。キレを感じない。長濱ねるソロ「また会ってください」、うっすらサブカル感漂わせたシンセ・アイドル・ポップがばっちり。ひらてちソロ第2弾「渋谷からPARCOが消えた日」やりたいことはすごくわかる。「語るなら未来を...」feat. TAKAHIROと入れてほしいぐらいに、ダンスがすごい。「サイレントマジョリティー」からたった4ヶ月でここまで来れるのか。MVのエンディング、15歳の深遠な笑みに文字通り心が震えて、俺は一体何をして生きていたのだろうかというところまで考えた。けやき坂46「ひらがなけやき」、なんていい曲。心が洗われる。初期の乃木坂みたいだ。あぁ。

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ムーンライト・セレナーデ

映画について

この夏観た映画たち。
映画を語れるほどのリテラシーを持っていないことをまず白状しておく。なすがままに。

エリック・ロメール海辺のポーリーヌ(1983)
はじめて下高井戸シネマに行った。曽我部恵一も学生のころ行っていたという、古くていい感じの劇場。前の座席が近くてウケた。映画はなんてことない、男女のどうしようもない恋物語

石井岳龍蜜のあわれ(2016)
かなり、二階堂ふみ。映画は大したことない。ダンス・シーンは好き。全ての映画に入れるべき。

庵野秀明樋口真嗣シン・ゴジラ(2016)
超おもしろい。オタクチーム最高。俺にも男のロマン的なものが残っていることがわかった。

ジョン・クローリー『ブルックリン』(2015)
よい。とてもよい。地方から都市に移り住んだ主人公が、自分の居場所、そして人生を見つける、というだけの映画。だがそれ以外に描かれるべきものって存在するのだろうか(存在する)。

新海誠君の名は。(2016)
(君の名は)希望。面白かったけど、どこか醒めてた自分もいたな(特に挿入歌の部分)。でもあの内容を107分に収めたのはすごいな。

ジョウ・グータイ『若葉のころ』(2015)
いいに決まってるじゃん、って感じの青春映画。ビー・ジーズ最高。

**

音楽について

今年の夏はサニーデイ・サービスの『DANCE TO YOU』が最もよかった。いきなりネッド・ドヒニーかよ。さらにボズ・スキャッグスかよ。って思ったけど最高。音楽的にはカラッとしてるけど内容は暗い。たぶんサニーデイディスコグラフィの中で最も暗い。個人的には『東京』も暗いアルバムに思えるが。
他にはFrank Ocean、Jamila Woods、Pictured Resort、Angel Olsenのアルバムがよかった。春にA Tribe Called Questの影響でジャズっぽいヒップホップにはまり、The Rootsを聴く。今年のビートはこの感じだな。

***

夏について

不思議な夏だった。
言葉が溢れ、時間軸が捻れたような2ヶ月を越えて残ったのは、「ムーンライト・セレナーデ」が流れるような香りのする潮風だった。

****

九月の海へ行こう。

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My Love, My Life

DTM(デスク・トップ・ミュージック)を始めた。とりあえず1小節の中にキックを4つ、適当なところにスネアとシンバルを配置しただけでそれっぽくかつ新しい即席ビートができあがる。スネアを2つ、少しだけずらして置けば、ビートルズの「Tomorrow Never Knows」のデモ音源でリンゴが叩いたような音が再現できる。

カーペンターズ「We've Only Just Begun」(作詞:ポール・ウィリアムス、作曲:ロジャー・ニコルズ)のような70年代ポップスがつくりたいと考え、まず構成をほぼそのまま拝借する。こんな具合だ。

凡例:パート(小節数)
イントロ(4)
ヴァース(8)x2
コーラス(12)
ヴァース(8)
コーラス(12)
ヴァース(8)
アウトロ(4)

ポップスにおいて構成は大事である。Aメロ、Bメロ、サビ、Cメロ、大サビ。シンプルな構成の多い洋楽に比べて邦楽ポップスの構成はかなり盛り込む。例えば、以前ある女の子に教えてもらったGRAPEVINE「光について」(名曲)は、一聴したときBメロがサビだと思って聴いていたが、その後に本当のサビが来るような構成で、こりゃヒットするわと思った。
ここまでポップスの構成を複雑にしていくのは日本特有らしい。僕はシンプルな構成の方がどちらかといえば好きだが(あるいはもっと自由な構成のもの)、商品・製品としての価値を高めようとした結果であろう。できるだけサビの盛り上がりを引き立たせるための構成。シンプルな構成で3分以下の曲はもう永遠にヒットしないのだろうか?

自作曲に話を戻す。まだ40%程度しかできていない。イントロ部分はローラ・ニーロ「Wedding Bell Blues」そのままで、コーラス(いわゆるサビ)前半のイメージはaikoの「飛行機」と「アンドロメダ」を掛けあわせたようなメロディ(そのようなものが実際にできるわけないが)、後半は宇多田ヒカルの新曲をちらっと試聴して出てきたものである。しかしまだ「これだ」というまでには至っていない。12小節は長い。
ヴァース部はほとんどできていない。どこかで聴いたことのあるメロディなのでたぶんそのままパクっているのだろう。
寝てるか起きているのかの中間状態のときに、知らないメロディが頭の中で鳴っているときがたまにあった。「これ、聴いたことないけどめちゃくちゃいいメロディだな」とは思っていたものの、起きたときにはもう忘れていた。(こうして生まれた最もすごい例が「Yesterday」だと思う。)ボイスメモに録っていたら、ヒットメイカーになっていたかもしれない。まぁ、忘れるということはその程度のメロディだったのだろう。そういえば最近、そのまどろみでメロディが生まれ、ボイスメモに録る、というところまでの夢を見た。才能がないということはつまりそういうことだ。

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