幸せな結末

Happy End

君と夏と僕のブルージーン

初期のL⇔Rをよく聴いている。トッド・ラングレンを始めとした70sパワー・ポップ好きにはたまらない感じ。なんせ、タイトルが「Hello, It's Me」(トッド・ラングレン)、「Days」(ザ・キンクス)、「Younger Than Yesterday」(ザ・バーズ)、「Stand」(スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン)、「Remember」(ジョン・レノン)、「Flying」(ザ・ビートルズ)だからね。わかるやつだけわかればいい。最も(そして唯一)有名なヒット・ソング「Knockin' On Your Door」はきっと「Knockin' On Heaven's Door」(ボブ・ディラン)だろうし。「君と夏と僕のブルージーン」なんかとても『ペット・サウンズ』~「グッド・ヴァイブレーション」(ザ・ビーチ・ボーイズ)している。素晴らしい。L⇔Rの曲によって、自分は本当にパワー・ポップが好きなんだと実感させられる。

最近は60年代から70年代をまたぐ最もエキサイティングな時期の音楽をまたじっくり聴いている。特にR&B中心。今日はスモーキー・ロビンソン・アンド・ザ・ミラクルズの『ゴーイング・トゥー・ア・ゴーゴー』と、ザ・ヤング・ラスカルズの『グルーヴィン』の廉価版かつリマスター盤を買った。ある程度時を経ても残っている作品は信頼出来る。きっと20年後でも色褪せてはいない。つまりこういうアルバムは未来に繋がっていることが約束されているようなものだ。今のアルバムよりもね。昔のアルバムの方が未来に繋がっているなんて、ちょっと興味深くはないかい?

聴いて損しない新譜が近頃2,3あった。泉まくらの『マイルーム・マイステージ』は、ややすっきりしすぎているきらいがあるけれども、スタイリッシュでスマートなレコードだ。相対性理論以降のシンガーで、アイドル・ポップも普通に愛するボーダーレスな感覚が現代的。EVISBEATS、Sugar's Campaignら気鋭のクリエイターを招くあたりのセンスも拍手を送りたい。住所不定無職の新作は、期待を上回る力作であった。ザ・ゾンビーズ子の、ポップ・ミュージックに対する愛情がこぼれそうなくらいに溢れていて、眩しい。このレコードには、スライ、ビーチ・ボーイズバカラック大瀧詠一ジャクソン5フリッパーズ・ギター鈴木雅之木村拓哉が共存している。こういうアルバムが聴きたいんだ。この国のすべての大衆文化の頂点(または象徴)と言ってもいい月9ドラマをテーマにした、「月曜21時に恋してる」の歌詞は、最高にご機嫌で、甘くて、洒落ている。ザ・ゾンビーズ子は完璧な作詞の才能もあることを、たった3分半の中で証明している。このような、「陽100%」に振り切った曲を作れるならば、住所不定無職がアイドルに曲を書く日も近いように思える。そうなれば僕はとても嬉しい。偶然だろうが、自分の変わりゆく音楽の趣味と、住所不定無職の音楽性の変化がオーバーラップしている。しかもデビューした2010年ごろからずっとだ。あと、これはインディー・シーン全体に言えることかもしれないけど、2011年以降、ポップな曲が増えてきているし、自分もポップな曲ばかり聴くようになった。ポップに開花した最新のサンプルが昨日公開された。平賀さち枝の待望の新曲「ギフト」。これも期待以上の快作だ。これを聴けば、前作『23歳』の一部の曲で見せた彼女のポップな側面が完全に開花したことを認めない人はいないだろう。間違いなく彼女の代表曲になる。思えば素晴らしい音楽というのは次の2パターンから生まれるようだ:森は生きているや住所不定無職のような、作家の音楽マニアぶりが乗じて、その狂気にも似た愛情がレコードに刻まれる場合。平賀さち枝のような、純粋培養の音楽家による、その人にしかできない音楽。僕はどちらも同じように愛している。

余談だが、初期の中村一義はその両面を持ち合わせていたように思う。



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乃木坂46の7thシングルの選抜メンバーが発表された。今回は従来の16人にプラス1人という形で、2期生の堀未央奈がセンター・ポジションに大抜擢された。今までのファンの思いとか、1期生メンバーの努力や流してきた涙、そういった美しいものを一切無視した、話題性を重視しただけの、こういう理不尽かつ不可解なやり方に僕は怒りを覚えるし、橋本奈々未が言ったように、到底受け入れ難い采配だ(しかし運営はそれこそ橋本のような賛否を呼ぶブログを待っていたのだろう。汚い大人たちだ)。まだうら若い純粋な女の子たちの気持ちを、おもちゃのように弄び、商品として扱う大人たちは、とっとと消え失せちまえばいいんだ。
それでもメンバーは受け入れて、前を向いて歩き始めているのなら、受け入れなきゃ仕方がない。
星野みなみがアンダーに落ちたことも衝撃的だった。しかし、本気になったみなみというものも見てみたい気もする。覚醒を待とう。今回は選抜よりもアンダーの方が楽しみかもしれない。衛藤、中元、川後の選抜入りは素直に嬉しい。


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明日、またあの人に会えるかなぁ。会えると、いいなぁ。