幸せな結末

Happy End

Half a Person

会社の飲み会で、いまの若者たちは欲がないという話になった。僕もそうだ。欲しいものはないのかと聞かれて、すぐには思いつかなかった。ただ、(この話はしなかったけど)僕は大学・大学院と7年通ったうち、少なくとも5年間は友だちと呼べる人は一人もいなかった。そんな社会性ゼロの人間が、就職できただけでも奇跡という他ない。拾ってくれた会社には感謝している。とにかく、そんな人間だったから、会社に入って普通に他者と何か一緒に作業したり、ちょっとした頼み事をされたり、食事をするというだけでも幸せなのだ。人間関係も悪くない。そんな環境で平穏無事に一日を終えて、家に帰って好きな音楽を好きなように聴ける。それだけでいい。さらに幸運なことに、週末には愛すべき恋人と逢える。それ以上何を望むというのだろう?

みなもと

例えば中川五郎のような、ごく個人的な内容を歌にするのがシンガー・ソングライターの定義とするならば、彼女はやや種類の異なるアーティストだ。作家本人とは関係なく、独立した美しさとわかりにくさを持つ歌詞(その中に「ある特別な感情」を隠している)を書く。そういう意味で彼女は正しく「詩人」である。あるいは大衆を惹きつける力(美人かどうか判別のつきにくい特徴的な容姿)を持つポップ・シンガーか。小沢健二が憑依したような高揚感を持つファンキーな3分間ポップス「後悔」と、アリーナクラスでも耐えうる、胸いっぱいの必殺メロディが炸裂する「あなたはあなた」。この2曲が存在するだけでも2017年を代表する名盤と呼ぶに相応しい。柴田聡子『愛の休日』。

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At My Most Beautiful

中村一義が日本人初のカバーを飾った『SNOOZER #010』を中古で買った。
『太陽』をリリースした頃のインタビューが載っている。
このアルバムは全年代・全人類必聴の作品であるとともに、
98年の中村一義江戸川区在住、当時23歳の青年)の生活のドキュメントでもある。
「そこへゆけ」までは模索していたが、それから先はバカになっていったという。
確かに後半の曲は多少ヤケになってきているところがある。
話は変わるけど高校時代に中村一義を聴いていた星野源よ、
ラジオで彼を紹介してくれ!
いつの時代でも彼の歌を必要としている人たちがいるはずだ。
 
さてそんな『SNOOZER #010』最大の発見は
この記事のタイトルにもなっているR.E.M.の楽曲に出会えたことだ。
「君を笑顔にする方法を見つけたんだ」
という一節からはじまる、ストレートでロマンティックなラブ・ソング。
そんなテイストをまとったプレイリストを組みました。
 
21 May, 2017
M1. The Flaming Lips, "Race for the Prize (Remix)"
M2. R.E.M., "At My Most Beautiful"
M3. Fairground Attraction, "Perfect"
M4. Al Kooper, "Jolie"
M5. The Ronettes, "Be My Baby"
M6. Roger Nichols & The Small Circle of Friends, "Love So Fine"
M8. 毛皮のマリーズ, "愛のテーマ"
M9. 大森靖子, "君と映画"
M10. aiko, "ロージー"
M11. Mr.Children, "君が好き"
M12. 岡村靖幸, "だいすき"
 
車を買おうと思う。

Lust For Life

仕事から帰って夕飯を食べると大抵は眠くなる。
そんな時は高校数学の問題と向き合ってみる。
東京出版『大学への数学』(月刊誌)だ。
実際の入試問題や出版社オリジナルの難しい問題が載っている。
初見で解けるものはひとつもない。
数分考えた後に解答をじっくり読んで、まずは理解する。
このとき、普段使っていない脳の一部を使う感じがして、それが心地よい。
理解したら、また自分の手で書いてその解答をなぞってみる。
美しい数式や、見事な解法にうっとりする。
数学の問題を考えている時は、とりあえず目下の(生活上のあれこれについての)
面倒な作業や憂慮すべき問題を棚上げすることができる。
言うなれば「逃避」だ。
マイノリティーだと思うが、これが僕のリフレッシュ法である。
 
藤原さくらの新譜が聴きたいと思い、CDを注文した。
試聴した限り、とても充実した内容のようだ。
(なまじ顔がかわいいから)アイドル的な売り出され方を
されそうになったが、なんとなく大丈夫な気がする。
彼女の才能は、そんな消費のされ方で朽ちるものではないだろう。
60~70年代のロックやポップスに影響を受けているらしいので、
ビクターを選んだのも、最善だ(ソニーじゃなくてよかった)。
このまま、aikoぐらいポップのど真ん中で勝負していける人になってほしい。
そしてエバーグリーンな名曲を書いてくれることを願っている。
 
「Darling」あたりからの西野カナが好きだ。
歌詞のテーマはシンプルで、具体的で、かつキャッチー。
まるで60sのアメリカン・ポップスのよう。
アレンジもアコースティック主体で言うことなし。
新曲の「パッ」もバッチリだ。
これが週末のスーパーマーケットやショッピングモールでかかったら
きっと素敵だろうな。正しい大衆音楽だ。
 
毎週(文句を言いながら)CDTVを観るのが日課になったのだけど、
アイドルやEXILE系以外は判で押したように同じ歌ばかり。
歌詞のテーマはやたら壮大で、抽象的で、イメージが湧かない。
「何か大事なことを歌わなくちゃいけない」という使命?
そんなものは窮屈以外の何物でもない。
まぁ、そういうものが売れるというだけのこと
(そういうものしか売れないのが問題だ)。
もちろん今に始まった話じゃないけどね。
 
なんとなく改行多めでゆったりとした雰囲気で書いてみた。
結構好き。

今日のままでいることなんて

4月の終わりに僕はポール・マッカートニーのライブを観た。16年以上(人生の半分以上だ)ビートルズを聴き続け、その音楽に身も心も捧げていた人間にとっては御姿を拝めるだけでもありがたいのに、なんとその場でビートルズの曲を演奏し、歌ってくれるのだ。個人的には「恋を抱きしめよう(We Can Work It Out)」、ジョンのパートを歌うポール、に泣けた。そう、この人こそ「ジョンの不在」をずっと背負い続けてきた人なんだ。先日藤本国彦『ビートル・アローン』を読んで、ジョンが生前ポールにかけた最期の言葉を知ってさらに泣けた。

「たまには俺のことも思い出してくれよ、オールド・フレンドなんだからさ。」

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ときに柴田聡子の新曲「後悔」がすごく好きだ。

ああ、バッティングセンターで

スウィング見て以来

実は抱きしめたくなってた

という歌詞になぜかグッと来てしまった。しかもこれが自由に上下するメロディに乗るのだから凄まじい。

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スピッツのアルバムが一斉にアナログ再発されると知ってしまった。『スピッツ』『名前をつけてやる』『ハチミツ』を注文した。値段(税抜¥3,000)が比較的良心的ですばらしい。くるりとは違う。

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来月に出るシャムキャッツの新作が吐くほど楽しみだ。ティーザーでちらっと聴いた感じは、ややラフで風通しの良さそうなネオアコ、またはパワー・ポップ(最高)。去年のシングル『マイガール』とEP『君の町にも雨はふるのかい?』で強引にバンドの新たな引き出しを開け、次作はもっと雑多な方向に行くのかと思いきや、統一感のあるテイストになりそうだ。去年の暮れに見たワンマンは、とても堂々とした貫禄あるバンドに成長したなあ、と考えていた(別に初期から追ってわけではないが)。

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今日のプレイリストは特にテーマなし。特定のアーティストにはまっていない時期です。

11 May, 2017

M1. Calvin Harris, "Heatstroke" (feat. Young Thug, Parrell Williams & Ariana Grande)

M2. Noname, "Sunny Duet" (feat. theMIND)

M3. NGT48, "青春時計"

M4. 藤原さくら, "Someday"

M5. 吉澤嘉代子, "月曜日戦争"

M6. 柴田聡子, "後悔"

M7. Girlpool, "It Gets More Blue"

M8. Mac DeMarco, "One More Love Song"

M9. The Zombies, "This Will Be Our Year"

M10. Radiohead, "High and Dry"

M11. Radiohead, "No Surprises"

M12. R.E.M., "Nightswimming"

M13. cero, "街の報せ"

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近いうちに中村一義『金字塔』について書きたい。