幸せな結末

Happy End

Lust For Life

仕事から帰って夕飯を食べると大抵は眠くなる。
そんな時は高校数学の問題と向き合ってみる。
東京出版『大学への数学』(月刊誌)だ。
実際の入試問題や出版社オリジナルの難しい問題が載っている。
初見で解けるものはひとつもない。
数分考えた後に解答をじっくり読んで、まずは理解する。
このとき、普段使っていない脳の一部を使う感じがして、それが心地よい。
理解したら、また自分の手で書いてその解答をなぞってみる。
美しい数式や、見事な解法にうっとりする。
数学の問題を考えている時は、とりあえず目下の(生活上のあれこれについての)
面倒な作業や憂慮すべき問題を棚上げすることができる。
言うなれば「逃避」だ。
マイノリティーだと思うが、これが僕のリフレッシュ法である。
 
藤原さくらの新譜が聴きたいと思い、CDを注文した。
試聴した限り、とても充実した内容のようだ。
(なまじ顔がかわいいから)アイドル的な売り出され方を
されそうになったが、なんとなく大丈夫な気がする。
彼女の才能は、そんな消費のされ方で朽ちるものではないだろう。
60~70年代のロックやポップスに影響を受けているらしいので、
ビクターを選んだのも、最善だ(ソニーじゃなくてよかった)。
このまま、aikoぐらいポップのど真ん中で勝負していける人になってほしい。
そしてエバーグリーンな名曲を書いてくれることを願っている。
 
「Darling」あたりからの西野カナが好きだ。
歌詞のテーマはシンプルで、具体的で、かつキャッチー。
まるで60sのアメリカン・ポップスのよう。
アレンジもアコースティック主体で言うことなし。
新曲の「パッ」もバッチリだ。
これが週末のスーパーマーケットやショッピングモールでかかったら
きっと素敵だろうな。正しい大衆音楽だ。
 
毎週(文句を言いながら)CDTVを観るのが日課になったのだけど、
アイドルやEXILE系以外は判で押したように同じ歌ばかり。
歌詞のテーマはやたら壮大で、抽象的で、イメージが湧かない。
「何か大事なことを歌わなくちゃいけない」という使命?
そんなものは窮屈以外の何物でもない。
まぁ、そういうものが売れるというだけのこと
(そういうものしか売れないのが問題だ)。
もちろん今に始まった話じゃないけどね。
 
なんとなく改行多めでゆったりとした雰囲気で書いてみた。
結構好き。

今日のままでいることなんて

4月の終わりに僕はポール・マッカートニーのライブを観た。16年以上(人生の半分以上だ)ビートルズを聴き続け、その音楽に身も心も捧げていた人間にとっては御姿を拝めるだけでもありがたいのに、なんとその場でビートルズの曲を演奏し、歌ってくれるのだ。個人的には「恋を抱きしめよう(We Can Work It Out)」、ジョンのパートを歌うポール、に泣けた。そう、この人こそ「ジョンの不在」をずっと背負い続けてきた人なんだ。先日藤本国彦『ビートル・アローン』を読んで、ジョンが生前ポールにかけた最期の言葉を知ってさらに泣けた。

「たまには俺のことも思い出してくれよ、オールド・フレンドなんだからさ。」

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ときに柴田聡子の新曲「後悔」がすごく好きだ。

ああ、バッティングセンターで

スウィング見て以来

実は抱きしめたくなってた

という歌詞になぜかグッと来てしまった。しかもこれが自由に上下するメロディに乗るのだから凄まじい。

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スピッツのアルバムが一斉にアナログ再発されると知ってしまった。『スピッツ』『名前をつけてやる』『ハチミツ』を注文した。値段(税抜¥3,000)が比較的良心的ですばらしい。くるりとは違う。

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来月に出るシャムキャッツの新作が吐くほど楽しみだ。ティーザーでちらっと聴いた感じは、ややラフで風通しの良さそうなネオアコ、またはパワー・ポップ(最高)。去年のシングル『マイガール』とEP『君の町にも雨はふるのかい?』で強引にバンドの新たな引き出しを開け、次作はもっと雑多な方向に行くのかと思いきや、統一感のあるテイストになりそうだ。去年の暮れに見たワンマンは、とても堂々とした貫禄あるバンドに成長したなあ、と考えていた(別に初期から追ってわけではないが)。

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今日のプレイリストは特にテーマなし。特定のアーティストにはまっていない時期です。

11 May, 2017

M1. Calvin Harris, "Heatstroke" (feat. Young Thug, Parrell Williams & Ariana Grande)

M2. Noname, "Sunny Duet" (feat. theMIND)

M3. NGT48, "青春時計"

M4. 藤原さくら, "Someday"

M5. 吉澤嘉代子, "月曜日戦争"

M6. 柴田聡子, "後悔"

M7. Girlpool, "It Gets More Blue"

M8. Mac DeMarco, "One More Love Song"

M9. The Zombies, "This Will Be Our Year"

M10. Radiohead, "High and Dry"

M11. Radiohead, "No Surprises"

M12. R.E.M., "Nightswimming"

M13. cero, "街の報せ"

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近いうちに中村一義『金字塔』について書きたい。

青春時計

3月はほぼ出張で、特筆すべき点はなし。延長に次ぐ延長、痛覚もなくなってしまった。

はやく帰って桜を見たい。そんな思いを込めたプレイリストは以下のようになります。 

 

Mar, 2017

M1. サニーデイ・サービス, "花咲くころ"

M2. Lorde, "Green Light"

M3. w-inds., "We Don't Need To Talk Anymore"

M4. Jay Som, "The Bus Song"

M5. Frank Ocean, "Chanel"

M6. 乃木坂46, "意外BREAK"

M7. 欅坂46, "チューニング"

M8. Pizzicato One, "ゴンドラの歌" (feat. ムッシュかまやつ)

M9. かまやつひろし, "ゴロワーズを吸ったことがあるかい"

M10. サニーデイ・サービス, "桜 super love"

M11. サニーデイ・サービス, "夜のメロディ"

M12. キリンジ, "スウィートソウル"

 

もしもゆうべ観た夢が 本当になるのなら

ぼくはたぶんもうすぐ 死ぬのかもね

悲しくなんてないよ ひとりきりできょうは

なつかしい遊園地の ゴンドラを眺めてる

そして長距離電話で きみと話せたら

ぼくはそれだけで 泣き出すかもね

悲しいわけじゃないよ きみに出会えたぼくは

あの日からきょうまで 幸せだったから

 (Pizzicato One「ゴンドラの歌 (feat. ムッシュかまやつ)」)

 

 

ロープウェー

1

君に会えた 夏蜘蛛になった

ねっころがって くるくるにからまってふざけた

風のように 少しだけ揺れながら

孤りを忘れた世界に 白い花降り止まず

でこぼこ野原を 静かに日は照らす

 (スピッツ「プール」)

 

2

ひょんなことから恋人と(一時的に)同棲することになった。同時に起き、手を振って見送り、迎えに行き、一緒に夕食を食べ、同時に眠る。一人用の部屋が整理・整頓されていくのと反比例するように二人の会話は輪郭を失い、知性の欠片もなくなっていく。なんて愉快で愛しいのだろう。彼女が次の住まいへ引っ越すまでしばらく続くわけだけど、この機嫌無敵なデイズは僕たちをどこへ連れていくのだろうか。とびきり上手にステップを踏みながら風の歌を聴こうと思う。

 

3

最近の仕事はというと、面倒で大きな仕事が終わりつつあるので新しいことをやっている。簡単に言うと3Dでメカお絵描き。すごく楽しい。自分で描いた図面はかわいい。

例えば与えられた仕事に、ABCDという配列があるとして、それをABCDのままできるだけ忠実に返すのがいいのか、いやこっちの方がいいと言ってBDACとかにして(さらにEを加えたりして)返すのがいいのか。後者のスタンスでやるには幾分度胸や知的体力が必要になるので、僕は断然前者のスタンスで仕事をする(面倒だから)。クリエイティビティがないと言われても、忠実さを守る。それが僕の仕事。という宣言。

 

4

このブログ(のようなもの)を書き始めて約5年が経とうとしている。途中で数ヶ月空くこともあったが、基本的にはその時々のとりとめない思いや出来事をあまり深く考えず書いてきたので、わりと率直にその時の自分が出ていると思う(特に乃木坂46について語るとき)。いわばこのブログは、自分自身による定点観測的な役割を果たしてきたといえる。その間僕は大学を卒業し、大学院に入学し、卒業し、引っ越し、就職した。 

 

5

2月某日、学生のとき住んでいた街を再訪した。背の高い建物がない街で、とにかく空が広い。そして、2月の夕陽はあの頃と同じように素晴らしい。来てよかった。 

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あの頃の夕陽に問いかける。

「まぁ、聞きなよ。」って声は、あんたなんだね。

この世界じゃ、そう、「ちょっとぐらいさ、笑おう。」って、

願いを込めて響く音がある。

100s「空い赤」)

 

6

これからできれば月イチペースで、ラジオDJになりきってプレイリストを作ってみようと思うんだけど、どう? 今月はとにかく、ザ・スミス

Feb, 2017

M1. Thundercat, "Show You The Way" (feat. Micheal McDonald & Kenny Loggins)

M2. Suchmos, "TOBACCO"

M3. Real Estate, "Darling"

M4. Sampha, "(No One Knows Me) Like The Piano"

M5. The Smiths, "Heaven Knows I'm Miserable Now"

M6. The Smiths, "This Night Has Opened My Eyes"

M7. The Smiths, "There Is A Light That Never Goes Out"

M8. Prince, "The Ballad Of Dorothy Parker"

M9. 小沢健二, "流動体について"

M10. 小沢健二, "神秘的"

M11. 渡辺満里奈, "バースデイ・ボーイ"

M12. Calvin Harris, "Slide" (feat. Frank Ocean & Migos)

 

7

やがて人生は次のコーナーに。

 

 

今日も朝から夜だった

やはりロックンロールが好きだ。年が明けてからヨ・ラ・テンゴやヴェルヴェット・アンダーグラウンドギャラクシー500やらの音楽が特に身体に入ってきやすいのだけど、これらの音楽に通底している温度感がなんだか好きなんだ。気怠くて、ややひんやりしている空気感。というかヴェルヴェッツの影響下にあるバンドは大抵好きだ。『ローデッド』はおよそ考えうる完璧なロックンロール・アルバムのひとつ。2~3分のポップ・ソングと長尺のロック・ソングが何の違和感もなく共存しているからだ。それぞれの曲にそれぞれの必要な時間があって、それらが自然と与えられている(「フロム・ミー・トゥー・ユー」は2分いらないし、「ヘイ・ジュード」は7分必要、というように)。他にはディアハンター『ハルシオン・ダイジェスト』、最近だとエンジェル・オルセン『マイ・ウーマン』などがありますよ。

今日はセンター試験の日だったそうで、その昔僕は2年連続で受けた記憶がある(1回目はもう10年前だが、信じないことにする)。だがもう関係のない話だ。12時半に目が覚めて、2時間ぐらいiPodのプレイリスト(2010年代のベストトラックを集めたもの)から適当に曲を流してぼんやりしていた。なんとも無益で無害な最高の時間。飽きた頃にベッドから這い出て、車でミツメをかけながらココイチに行く。チキンカツカレーを頼んで食べていたら、天啓があって、ライスは200gで十分という驚くべき結論に達した。これは論文が書けると思う。もしかしたらノーベル賞に手が届くやもしれない。やも。

その後、一番近いヴィレッジ・ヴァンガードに行って、にわか漫画ファンとして暗躍すべく、恋人に薦められた宮崎夏次系の短編集を2冊購入した。まず『変身のニュース』を読んだのだが、ごく控えめに言って、とてつもない衝撃を受けた。宮崎夏次系という才能そのものがごろりと横たわっていた。たまたま漫画という体裁をとっただけの話。

つい先日は石山さやか『サザンウィンドウ・サザンドア』を読んだ。これも大変よかった。ひとつの団地に暮らす様々な人々の群像劇。街中でつづいていく暮らし。例えば星野源『エピソード』(もう今の彼にはこうした作品はつくれないのだろうと思うとやや寂しい)やシャムキャッツ『AFTER HOURS』といった、市井の人々を並列に描いた作品は基本的に好き。

本当は『ジャニス リトル・ガール・ブルー』を観に行こうと思っていたのだが気が乗らずやめる。帰ってカーネーションの『天国と地獄』、『EDO RIVER』をApple Musicで聴く。カーネーションは今まで通ってこなかったが、ミュージシャンズ・ミュージシャンという印象が非常に強かったのできっといいのだろうと予測していた。『天国と地獄』はマジモンのロック・アルバムで、久々にアルバム通して聴く行為にゾクゾクした。『EDO RIVER』のタイトル曲にもぶっ飛ばされた。

去年の春に買ったサックスブルージャックパーセルがなぜかすごく汚いので、ブラックの新しいやつが欲しい。でもあの靴は薄めの生地でつくられているので今の時期は寒いです。